Kouichi Kawasaki's Blogファッション通信

スーツに合うマフラーの選び方 巻き方6種と外すタイミング

スーツにマフラーを合わせることは、ビジネスマナー上問題ありません。ただし、訪問先や室内では外すのが基本です。
この記事では次の3点を解説します。

  • スーツに合うマフラーの選び方(色・柄・素材・長さの4基準)
  • ビジネスで使える巻き方6種と、やりがちな失敗
  • 訪問先で外すタイミングと、外したあとの扱い

スーツにマフラーはマナー違反ではない

スーツにマフラーを合わせてもマナー違反ではありません。

ただし防寒具にあたるため、取引先や会食の店内では外すのが基本です。

ジャケットのシルエットを崩さずに首元を防寒できる点でも、スーツと相性のよいアイテムです。

スーツにNGなマフラー 3つの線引き

ビジネスでは、厚手の編み地、主張の強い柄、鮮やかすぎる色を避けると失敗しにくくなります。

避けたいもの 理由
太い糸を粗く編んだローゲージのニット 厚みが出てジャケットの襟が浮き、コートの前も閉まらない
タータンチェック、迷彩、大きなロゴ・ブランド柄 首元が派手になり、装い全体のバランスが崩れる
鮮やかな赤・黄・明るい水色 屋外では映えても、オフィスの照明下では浮きやすい
極端に長いフリンジ、光沢の強い化繊 近距離では安価な印象を与えやすい

差し色を入れたい場合も、深く沈んだ色に留める方が安全です。

スーツに合うマフラーの選び方 4つの基準

選ぶ基準は、色・柄・素材・長さの4つです。この順で決めていけば、店頭で迷う時間はほとんどなくなります。
まずは全体像として、スーツの色ごとの相性を整理しておきます。

スーツの色 合わせやすい色 避けたい色
ネイビー グレー、チャコール、ネイビー(濃淡違い) 明るい茶、鮮やかな青
チャコールグレー 黒、ライトグレー、ネイビー ベージュ、パステル系
ライトグレー ネイビー、チャコール 同トーンのグレー(ぼやける)
ブラック 黒、濃グレー、ボルドー(夜のみ) 白、明色全般

色は黒・グレー・ネイビーが基本 柄スーツには無地を合わせる

まずこの3色から選べば失敗しません。

ビジネススーツとコートの大半がこの色域に収まっているためで、同系色でまとめると首元が背景に溶け、輪郭だけが整います。
応用としては、ネイビースーツにミディアムグレー、チャコールスーツにライトグレーというように、同じ色の濃淡違いを合わせると奥行きが出ます。

例外は黒スーツにボルドーです。夜の会食など照明の落ちた場面では有効ですが、日中の商談には強すぎます。
日中に色を入れるなら深いグリーンかダークブラウンが穏やかにまとまります。

柄はスーツ生地と同じ文法で選ぶ

柄物を選ぶなら、グレンチェック、シャドーストライプ、ヘリンボーンの3つです。
これらはもともとスーツ生地の柄なので、素材が違っても文法が揃い、違和感が出ません。

逆にタータンチェックやアーガイルはカジュアル衣料の語彙であり、同じチェックでもスーツの上では異物になります。「この柄でスーツを仕立てられるか」を基準にすると迷いません。

なお、スーツ自体が柄物の場合は無地を合わせるのが原則です。柄と柄を重ねるには柄の大きさとトーンを計算する必要があり、リスクに見合いません。

素材は「編み」より「織り」を選ぶ

ビジネス用途では、編んだものより織ったマフラーを選んでください。

織り地は表面が平らで薄く、ジャケットの襟とコートのあいだに収まります。編み地は伸縮する代わりに厚みが出るため、首元がもたつきます。

素材はカシミヤとメリノウールのいずれかを選ぶのがおすすめです。

カシミヤは繊維が細く薄いのに暖かい一方、毛玉ができやすく価格も上がります。メリノウールは適度な張りがあって巻いた形が崩れず、日常使いの一本として扱いやすい素材です。

なおチクチクの原因は素材の種類ではなく繊維の太さにあるため、店頭では必ず首元に当てて確認してください。

長さは身長プラスマイナス10cmが目安

長さは身長を基準に、プラスマイナス10cmの範囲で選びます。身長170cmなら160〜180cmです。

短いと結び目の位置が高くなって窮屈に見え、長すぎるとジャケットの裾から端が飛び出します。

見落とされがちなのが幅です。ビジネス用途では30cm前後が扱いやすく、40cmを超えるとVゾーンが埋もれてネクタイが見えなくなります。

首元の面積が増えるほどカジュアルに寄るため、幅は狭いほうが無難です。

首の長さ・肩幅で変わるマフラー選び

同じマフラーでも、首が短い人と長い人ではそれぞれ逆に巻いた方が良いです。
色や素材の一般論を守っているのに鏡の前でしっくりこないなら、原因はモノではなく体との関係にあります。
自分のタイプは鏡の前で確認できます。顎の下から鎖骨までに指が3本入れば標準、2本以下なら首が短めのタイプ、4本以上なら長めのタイプです。
以下は骨格スタイルアドバイザーの監修による整理です。

タイプ 選ぶ基準 おすすめの巻き方
首が短い・太い 薄手で幅の狭いもの。巻き数を減らし、端を胸の中心に落として縦の抜きをつくる 垂らし巻き、ワンループ巻き
首が長い 厚みのある素材も選べる。ボリュームで間延びを補正する ピッティ巻き、二重巻き
なで肩 幅は狭く、縦に落とす。肩に広げると傾斜が強調される 垂らし巻き、ワンループ巻き
いかり肩 幅のあるものを肩線に沿わせ、角ばりを和らげる 結び目を作らず面で見せる巻き方

自分がどのタイプか判断がつかない場合は、一度専門家の目で首まわりと肩の形を確認してもらうのが効率的です。K-51 Internationalではスタイリストによる体型の分析とご相談を承っています。

ビジネスで使えるマフラーの巻き方6種

ビジネスで使える巻き方は6種類あれば足ります。まず全体を比較し、その日の場面に合うものを選んでください。

巻き方 難易度 所要時間 適性シーン
ワンループ巻き ★☆☆ 約10秒 通勤、商談、就活
垂らし巻き ★☆☆ 約5秒 秋口、社内移動
ひと結び ★★☆ 約20秒 通勤、社外の打ち合わせ
ピッティ巻き ★★★ 約40秒 会食、重要な商談
アスコット巻き ★★☆ 約30秒 式典、フォーマル寄りの場
フェイクノット ★★☆ 約20秒 短い一本を使うとき

ワンループ巻き 10秒で決まる基本形

迷ったらこれです。左右対称で崩れにくく、コートの前を閉めても形が保てます。

  1. マフラーを縦半分に折り、輪と端をつくる
  2. 首にかけ、輪と端の位置を胸の高さで揃える
  3. 端を輪にくぐらせる
  4. 結び目を鎖骨の高さに下げ、ねじれを整える

結び目を喉元まで上げると窮屈に見えます。指2本分の余裕を残してください。

垂らし巻き 縦のラインを強調する

最も簡単で、最も体型を選びません。首元に厚みが出ないため、首が短い人にも向きます。

  1. 折らずにそのまま首にかける
  2. 左右の長さを揃える(片側を10cmほど長くしても良い)
  3. ジャケットまたはコートの襟の内側に落とす
  4. 胸の前で平らに整える

屋外を長く歩く日には向きませんが、気温が下がりきらない秋口や社内移動では十分です。

ひと結び 結び目を緩めて余裕を出す

ワンループより柔らかい印象になります。緩めるのがすべてで、締めると途端に古い印象になります。

  1. 首にかけ、左右の長さを揃える
  2. 胸の前で一度結ぶ
  3. 結び目を指で押し広げ、空気を含ませる
  4. 端を左右に振り分けて落とす

ピッティ巻き 立体感を出す

ミラノ巻きとも呼ばれ、首元に厚みと陰影が出ます。会食や重要な商談など、印象を残したい場面向きです。

  1. マフラーを縦半分に折って幅を狭める
  2. 首に一周巻きつける
  3. 巻いた輪に、両端を上から差し込む
  4. 輪の中で端を左右に開き、立体感をつくる

厚手の素材で行うと膨らみすぎます。薄手のカシミヤなど、落ち感のある一本を選んでください。

アスコット巻き Vゾーンを見せるフォーマル寄りの巻き方

胸元が平らに収まり、ネクタイやジャケットの襟を隠しません。式典など端正さが求められる場に向きます。

  1. 首にかけ、左右の長さを揃える
  2. 胸の前で交差させる
  3. 上になった端を、交差点の下からくぐらせる
  4. 両端をジャケットの襟の内側に収める

フェイクノット 短いマフラーでボリュームを出す

長さが足りない一本を活かす巻き方です。結び目を先につくるのが要点になります。

  1. 片方の端から30cmほどの位置に、緩い結び目をつくる
  2. 首にかけ、結び目を胸の前に置く
  3. 反対側の端を結び目にくぐらせる
  4. 結び目を締め、位置を鎖骨の高さに整える

巻き方でやりがちな3つの失敗

巻き方そのものより、この3点は印象を損ないます。

  • ボタンを留めたジャケットの上から垂らす。マフラーはジャケットの上ではなく、コートとジャケットの間に収めます
  • 端がジャケットの裾から出すぎる。腰より下に垂れると重心が下がります
  • 薄手のマフラーをコートの外側に出す。外に出すのは厚手で表情のある素材に限ります

コートなしでマフラーだけはあり? 気温での判断基準

問題ありません。ただしコートという緩衝材がない分、マフラー単体の質と色柄がそのまま評価されます。
判断の目安は気温で、多くの人が肌寒さを感じ始めるのが15度前後、厳しい寒さと感じるのが10度以下とされています。
マフラー単体で通せるのは、この15度から10度のあいだと考えてください。風の強さや屋外にいる時間によっても変わります。

コート・スーツ・マフラーの三点で考える

マフラーだけを単独で選ぶと、コートを買った時点で合わなくなってしまう場合があります。
たとえば黒のコートに濃紺のスーツを合わせるならマフラーはグレーが橋渡しになり、ベージュのコートならブラウン系に寄せたほうが自然です。
コートの色を先に決め、そこにスーツとマフラーを合わせる順序が失敗しません。
また細身のスーツにボリュームのあるマフラーを合わせると上半身だけが膨らむため、マフラーの厚みはスーツのシルエットに従属させてください。
逆に言えば、小物をどう調整しても収まりが悪いときは、スーツ自体が体に合っていない可能性があります。コートを含めたトータルのご相談も承っていますので、迷われている方は一度ご来店ください。

マフラーを外すタイミングとしまい方

訪問先では、建物に入る前にコートと同時に外すのが基本です。
理由は2つあり、屋外の埃や雨を室内に持ち込まないため、そして防寒具を身につけたまま人と向き合うことが対等な姿勢を示さないとされてきたためです。
理由がわかっていれば、判断に迷う場面でも応用が利きます。

シーン別の外すタイミング

場面 外すタイミング
取引先を訪問する 建物に入る前。コートと同時に
来客を迎える 相手が到着する前に自席で外しておく
会議室に入る 入室前。着席後に外すのは避ける
会食・食事の席 店に入る前。預かりがあれば預ける
同じビル内の移動 着けたままで差し支えない

ただしこれは基本であって、絶対ではありません。
アパレルやクリエイティブ系のように装いそのものが自己表現とみなされる業界では、室内でも着けたままのほうが自然な場面があります。相手の業界と場の空気に合わせて判断してください。

外した後はカバンに入れる

外したマフラーは、縦に二つ折りしてから軽く巻き、カバンに収めるのが最もきれいです。
カバンに入らない場合は、たたんだコートの上に重ねて、コートごと椅子の背か指定された場所に置きます。
膝の上に載せたり、椅子の背に直接かけたりするのは避けてください。

働く女性のスーツマフラー選び

基本の選び方は男女で共通です。ただしジャケットの襟型とコート丈との兼ね合いで、似合う長さと幅が変わります。

項目 ポイント
襟型 ノーカラージャケットは幅の狭いマフラーを平らに沿わせる。テーラードカラーは男性と同じく襟の内側に収める
長さ ショート丈のコートには短め。長いと裾から端が出て縦の線が分断される。ロングコートなら長めでも可
ストール兼用 可能。ただし大判は肩線を隠すため、縦に折って幅を半分にして使う
基本は黒・グレー・ネイビー。明るいブラウスには濃色を。濃色ジャケットに濃色だけを重ねると顔色が沈む
髪との干渉 先に髪をまとめるか、結び目をつくらない垂らし巻きを選ぶと一日形が保てる

オフの日と同じ巻き方をそのまま持ち込むと、一気にカジュアルになります。

長く使うための手入れと買い替えの目安

マフラーは正しく扱えば10年使えます。
毛玉は摩擦で生じるため、使用後は毛の流れに沿って洋服ブラシをかけてください。できてしまった毛玉は引っ張らず、小さなハサミで根元から切ります。
静電気はウールと化繊のコートの組み合わせで最も起きやすく、静電気防止スプレーを内側に軽く吹くだけで大きく変わります。
クリーニングは毎シーズン1回で十分です。シーズン終わりに一度出し、防虫剤とともに畳んで保管してください(吊るすと自重で伸びます)。
買い替えのサインは、毛足が寝て光沢が失われたとき、そして端の縫製がほつれたときです。

価格帯 目安の耐用 印象への効果
1万円前後 2〜3シーズン 毎日使いの実用。遠目には十分
1〜3万円 5シーズン前後 商談の距離で見劣りしない
3万円以上 10年前後 艶と落ち感が近距離で伝わる

年に100日使うとすれば、3万円の一本を10年使えば1日あたり30円です。数を持つより、一本を長く使うほうが結果的に印象もコスパもいいです。

スーツのマフラーによくある質問

就活でマフラーを着けても良い?

問題ありません。無地の黒、グレー、ネイビーであれば、面接官が気にすることはまずありません。ただし会場の建物に入る前に外し、カバンに収めてください。

葬儀や通夜ではどうする?

黒の無地であれば着用できます。光沢のある素材、柄物、色物は避けてください。会場に入る前に外すのは他の場面と同じです。

カシミヤとウールはどちらを選ぶべき?

毎日使う一本目ならメリノウール、二本目や勝負どころ用ならカシミヤという順が扱いやすいです。カシミヤは軽く暖かい代わりに毛玉ができやすく、日常的に酷使するには気を使います。

まとめ

首元は、対面の場でもっとも長く見られる場所です。だからこそマフラーは、小物のなかで印象への効果が最も大きいアイテムになります。

  • 色は黒・グレー・ネイビー、柄はスーツ生地と同じ語彙で選ぶ
  • 素材は編みより織り。長さは身長プラスマイナス10cm
  • 巻き方はワンループを基本に、勝負どころでピッティ巻き
  • 訪問先では建物に入る前に外し、カバンに収める

ただし正解は「何を買うか」ではなく、「誰の首に、どのスーツの上に巻くか」で決まります。
K-51 Internationalでは、体型に合わせたオーダースーツの仕立てと、小物を含めたコーディネートのご相談を承っています。首元の収まりが気になる方は、採寸を兼ねて一度ご来店ください。

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